令和4年福島県立高校入試問題の傾向
国語
例年通りの大問6題構成。大問1では「動詞の活用形」が出題されたが、基本的な内容で確実に得点に結び付けたいところ。
大問2の韻文では予想通り俳句が出題された。難易度は決して高くなく、充分に対応できる問題であった。難関の上位校を目指す受験生は、漢字の読み書きを含めた大問1から大問2のここまでを、いかに時間をかけずに失点することなく解き終えたかが鍵となる。
大問3では古文と漢文の書き下し文、「学ぶ姿勢」について書かれた2つの文章から出題。現代語訳がかなりの部分でなされていたので内容理解についてはさほど難しくはなかったと感じるが、20字の記述問題を得点できたかどうかがポイントとなる。
大問4はかなり長めで、読みやすさが感じられるセリフ中心の小説から出題。記号選択式問題は丁寧に間違っているものを消していけば正答にたどりつけただろう。心情把握の35字・50字の記述問題も出題されたが、本文の該当箇所の書き写しで事足りる新教研テストのそれと比較すると難易度は高い。
大問5は「言葉の限界と可能性」について書かれた哲学的内容の論説文からの出題で、昨年度に比べれば内容理解は容易か。しかし、その理解したことを表現できるかどうかが記述問題での得点に直結するので、難易度としては低くはない。それだけに記号選択式及び書き抜きの問いで確実に点数を稼ぎたい。
大問6の作文は、資料を見て「外国人とのコミュニケーションの取り方」について自分の考えを表現する力を見られた。普段から考える習慣をつけることも、効率よく国語の成績をアップする勉強の一つであろう。
今年度の国語に関しては記述問題の難易度が高いという印象で、新教研テストの記述問題をただこなすだけでは高得点は望めないと考える。日頃から記述問題に触れておき「記述対応力」を磨くなど、『思考と表現』の訓練が今後一層重要になる。
数学
例年通り、大問7問の構成。
大問1は計算及びおうぎ形の面積、大問2は小問集合で確実に得点したい基本問題。
大問3は確率及び規則性の問題。文字を使った説明が出題された。
大問4は連立方程式の文章問題であるが、ただの文章ではなくゲームのルールが提示され、それを実行した結果から経過を求めるという「資料読み取り」の要素が加わっていた。
大問5は例年通り図形の証明問題。2年の範囲で解ける問題であった。
大問6は関数の問題。(2)までは平易。(3)は面積の問題であった。
大問7は空間図形の問題。三角形の面積から高さを、三角錐の体積から高さを求める問題がそれぞれ出題された。
全体として難易度は低めだったと思われる。
いずれにしても、基本的な問題は確実に得点することが大切。難易度の高い問題は、数多く問題をこなし、解き方のパターンを覚えていきたい。
英語
例年と同様大問は放送問題を含む5題。出題形式は大問3と大問4に変更あり。難易度は例年通りだった。
[大問1]・・・放送問題
放送問題3の英単語を書く問題では動詞・名詞・形容詞が出題され、どれも基本的な単語だった。単語は正しい発音ができるように、聞き取れるように学習し、スペルまでしっかり覚えておくことが重要。
[大問2]・・・空欄補充(単語・文)問題、整序問題、対話補充問題
[命令文, and ~.]や間接疑問文など、文法や語句に関する基本的な問題が並んだ。文法・語句の基本を理解していれば解ける問題だった。
[大問3]・・・英作文
例年通り小問2問で構成されていたが、和文を英訳する形式から対話の流れに合った内容を英作する形式に変わった。(1)は現在完了進行形の基本的な問題だった。(2)は次の発言のthey(イラストの人物)を適切な名詞を使って表し、learnの反意語を使っての英作文だった。初めてみる問題形式に戸惑った受験生が多かったかもしれないが、教科書の基本レベルの単語と文法を身につければ十分対応できる。
[大問4・5]・・・長文読解問題
例年通り大問4は対話と資料(グラフ)、大問5はスピーチの原稿の文章だった
大問4では最後に、空欄補充問題ではなく条件付きの自由英作文が出題された。指定の語数が5~8語なので、無理に難しい表現を使う必要はなく、中1~中2レベルの単語と文法で表現できる。
大問5では、本文内から答えの根拠を見つけ、論理的に解答するという手法はどの設問でも使えた。疑問文の英作文も難易度は高くないので受験生にとって解きやすかったと思う。
理科
昨年度までと同じく生物、地学、化学、物理から2問ずつの8問構成。
記述問題が多かったのが特徴的。
生物分野からは単子葉類と双子葉類の特徴、無性生殖における染色体の受けつがれ方と子の形質。
地学分野からは等粒状組織の鉱物が大きい理由とれきや砂の粒が丸みを帯びる理由、台風の進路と太平洋高気圧の関係。
化学分野からは還元反応の実験においてピンチコックを閉じる理由。
物理分野からは電圧と電流の関係と、おもりが静止しているときの合力の向き。内容自体は基本的なものが多い。
計算問題の数は少なく、計算自体も易しい。記号問題はよく考える必要があり、やや難しいといえる。
社会
地理、歴史、公民の3分野から大問2題ずつの出題であった。設問数に大きな変化はない。論述式の問題は、難易度の異なる5問が出題された。
全体的に、基礎知識を問う問題、地図や資料・グラフを正確に読み取って判断する問題、与えられた語句を用いて知識を正確に表現する力を問う問題などがバランスよく出題された。地理では、指定された国の特徴をもとにその国の資料を選択したり、時差を基に計算する力や、関東地方の特色についての知識が必要であった。歴史では、時代ごとの基礎知識を問う問題だけでなく、一歩踏み込んだ内容の理解度、定着度を問う問題も出題された。公民では、人権、民主政治、経済などについて、基本的な事項を正確に理解しているかが問われた。
日頃からの基礎学習に加え、資料を用いた問題を数多く解くこと、論述式の問題に繰り返し取り組むこと、その積み重ねによって自信を深め、柔軟な発想を培うことを心掛けて欲しい。
なお、私共村田進学塾で2月下旬に受験生を対象に行った「直前対策授業」で取り扱った内容のうち、以下の問題が出題されました。
大問4(1)官営模範工場の名称を答えさせる問題。… ほぼ的中
大問4(3)日清戦争の講和条約の名称を答えさせる問題。… ほぼ的中
大問6(2)ドント式の計算方法により政党の獲得議席数を答えさせる問題。→ ほぼ的中