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令和5年福島県立高校入試問題の傾向

国語

例年通りの大問6題構成。大問1では「敬語」が出題されたが、基本中の基本が問われたもので確実に得点に結び付けたい。

 

 

大問2の韻文では予想通り詩が出題された。一見すると難しい問題にも思われるが、詩中にある解答の根拠を押さえることが出来れば、充分に対応できる問題であった。

 

 

大問3では発言に関する教訓が述べられた古文からの出題。問題内にある「授業で話し合った内容の一部」も参考にすることで、内容の理解は出来たと思われる。30字の記述問題を上手くまとめることが出来たかどうかがポイントとなる。難関の上位校を目指す受験生は、漢字の読み書きを含めた大問1から大問3のここまでを、いかに時間をかけずに失点することなく解き終えたかが鍵となる。

 

 

大問4は、読みやすさが感じられるもののかなり長めの小説から出題。ここ数年の入試は、小説が長文になりやすいという傾向が顕著に表れている。記号選択式問題の難易度が決して高くないだけに、間違いなく得点したいところ。心情把握の30字・65字の記述問題も出題されたが、こちらの難易度はやや高めといった印象。

 

 

大問5は「読書に対する考え方」について書かれた論説文からの出題で、これまでに見られなかった新傾向の問題もあった。その中でも60字の記述問題は、本文の該当箇所の書き写しで事足りる新教研テストのそれと比較するとかなりの難問と言える。それだけに大問4の小説と同様で、記号選択式及び書き抜きの問いで確実に点数を稼ぎたい。

 

 

大問6の作文は、二つの資料を見て「ユニバーサルデザインを推進すること」について自分の考えを表現する力を見られた。こういった時事問題に関して普段から考える習慣をつけることも、効率よく国語の成績をアップする勉強の一つであろう。

 

 

全体的に今年度の国語は記述問題の難易度がやや高く、記号選択式及び書き抜きの問題は易しいといった印象。記述問題を正解さえできれば高得点も狙えるだろう。ただ、読み取らなければならない文字数が年々増加しており、時間内に解き切れるか受験生は焦りを感じながら試験に臨んでいたのではなかろうか。この文字数の増加傾向はしばらく続くことが予想され、高得点をとるには「速く正確な読解力」を磨く必要がある。そのためには、常日頃の学習の積み重ねが重要であることは言うまでもない。

 

 

数学

例年通り、大問7問の構成。

 

 

大問1は計算及び立体の相似についての問題。ここは確実に得点したい。

 

 

大問2は小問集合でここも確実に得点したい基本問題。今年度は作図及び箱ひげ図が出題された。

 

 

大問3は確率及び規則性の問題。昨年度と同様文字を使った説明が出題された。

 

 

大問4は連立方程式の文章問題。今年度は標準的な難易度であった。

 

 

大問5は図形の証明問題であるが、昨年と異なり2題構成。相似の証明は標準的な難易度だが、相似な図形の面積比から相似比を求めるという、通常と逆の発想が必要な問題が出題された。

 

 

大問6は関数の問題。反比例が題材となり、会話文が挿入されているこれまでにない形式であった。

 

 

大問7は空間図形の問題。円錐にかけたひもの長さが最も短い場合などが出題された。

 

 

全体として昨年度より難易度は高くなっていたと思われる。

いずれにしても、基本的な問題は確実に得点することが大切。難易度の高い問題は、数多く問題をこなし、解き方のパターンを覚えていきたい。

 

 

英語

大問は例年と同様、放送問題を含む5題。難易度も例年通りだった。

 

[大問1]・・・放送問題

例年通りの問題形式であり、語句や文法の基礎知識がバランスよく問われた。特に難しい問題はなく、全問正解も可能だった。

 

 

[大問2]・・・空欄補充(単語・文)問題、整序問題、対話補充問題

現在進行形や[疑問詞+to不定詞]など、文法に関する基本的な問題が並んだ。整序問題では原形不定詞が出題された。基本的な単語の意味や対話の流れ、文法の理解が問われた。

 

 

[大問3]・・・英作文

昨年と同じく、対話の流れとイラストに合った内容を英作する問題形式だった。(1)は不定詞の形容詞的用法を利用する基本的な問題だった。(2)はイラストの内容を理解し、助動詞shouldを使って英文を作れたかどうかがポイントとなる。基本レベルの単語と文法を身につければ十分対応できる。

 

 

[大問4・5]・・・長文読解問題

例年通り大問4は対話と資料(表)、大問5はスピーチの原稿の文章だった。

大問4では去年と同じく、条件付きの自由英作文が出題された。「日本で勉強すること」と「留学すること」のどちらが自分にとって良いか選び、その理由を答える問題だった。指定の語数が昨年の「5~8語」から「8語以上」に増えた。このような問いに対して、日頃から自分の考えを英語で表現する練習をしておきたい。

 

大問5は例年の傾向とは異なり、疑問文の英作文ではなく、段落を要約した文章になるように空欄を8語以上の英語で補充する問題が出題された。基本的な文法の知識があれば対応できるが、本文から語句を見つけ、活用して補充することが要求された。

 

大問4・5ともに、本文そのものの難易度はそれほど高くなく、どの設問も答えの部分を本文中から探す解き方をすれば問題なく解けた。

 

 

理科

昨年度までと同じく生物、地学、化学、物理から2問ずつの8問構成。

 

 

生物分野からは動物の分類と生態系、光合成と対照実験について。

 

 

地学分野からは地層と化石、湿度と水蒸気。

 

 

化学分野からは水溶液の濃度、ダニエル電池。

 

 

物理分野からは凸レンズのはたらき、力学的エネルギーについて出題された。

 

 

昨年度と異なり記述問題は少なく、全体的な難易度は高くない。高得点のためには指導要領改訂で追加されたダニエル電池についての知識や実験結果の考察などの力が必要。

 

 

社会

地理、歴史、公民の3分野から大問2題ずつの出題であった。設問数に大きな変化はない。論述式の問題は、難易度の異なる7問が出題された。

 

 

全体的に、基礎知識を問う問題、地図や資料・グラフを正確に読み取って判断する問題、与えられた語句を用いて知識を正確に表現する力を問う問題などがバランスよく出題された。

 

 

地理では、南北アメリカ州について、気候・歴史・産業などの広範な知識や、九州地方の地形・気候・産業だけでなく地形図の地図記号の知識が必要であった。

 

 

歴史では、飛鳥時代以降について、時代ごとの基礎知識を問う問題だけでなく、一歩踏み込んだ内容の理解度、定着度を問う問題も出題された。

 

 

公民では、人権・国会・経済・環境などについて、基本的な事項を正確に理解しているかが問われた。

 

 

日頃からの基礎学習に加え、資料を用いた問題を数多く解くこと、論述式の問題に繰り返し取り組むこと、その積み重ねによって自信を深め、柔軟な発想を培うことを心掛けて欲しい。

 

 

 

 

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