H29福島県立高校入試問題の出題傾向
【国語】
例年通り大問6題構成。大問2の韻文では予想通り、詩が出題された。大問3の古典では昨年十数年ぶりに出題された漢文が、今年度も取り上げられた。とはいえ、これも昨年同様に基本中の基本が問われたもので、決して難しい問題ではなかった。大問4の小説は読みやすさは感じられたものの長めの文章で、45字・50字の記述問題も出題された。大問5の論説文でも45字・60字の記述問題が出題され、『読解のスピード』と『書く力』が要求されたと言える。全体的に選択肢における文もこれまでより比較的長めになり、『正確な読解力』も試された。大問6の作文においては、グラフを読み取り、自分の考えを表現する力を見られた。例年、時間配分がポイントとなるが、今年度は問題用紙の一枚目、大問1から大問3までをいかに時間をかけずに解き終えたかが鍵となっただろう。『思考と表現』の日頃からの訓練が今後一層重要になる。
【数学】
例年通り、大問7問の構成。設問1・設問2は小問集合で、教科書の基本事項を理解し、速く正確に解く力が必要であった。設問3は確率及び資料の問題。資料の問題では、度数分布表を的確に捉え、数学的表現で説明する力が問われた。設問4は、連立方程式の文章問題。例年通りの求める過程を全て記述する形式に加え、グラフを正しく読み取り、事象と関連付けて解釈する力が問われた。設問5は証明問題で、円周角の性質を利用し表現する力が問われた。設問6は関数の総合問題。座標を文字で表して、数理的処理ができるかが求められた。設問7は空間図形の総合問題で、例年同様難易度はやや高め。空間から立体の内部や切り口を抜き出し、様々な角度で解き方を考える力が必要であった。
いずれにせよ、基本的な問題は確実に得点するよう日頃から訓練することが大切であり、難易度の高い問題に関しては、たくさんの問題に触れ、解き方のパターンを覚えていくことが必要である。
【英語】
大問及び各大問の小問の構成はほとんど例年どおりであり、全体的な難易度も同程度。大問1・2がやや易しい分、大問3では現在完了形の従属節を書かせる問題が出題され、大問4の対話文の字数が去年より40語以上、平成27年と比べ80語程度多いなど、難易度は調節されている。
特殊な問題や、近年の問題傾向と全く異なる問題が出題されているわけではなく、基本的な単語や文法の知識、それらを応用する力が問われており、通常授業等での中3までの学習や、各種講座での問題演習・入試対策で十分対策が可能な出題内容であった。
【理科】
昨年と比べると易しくなったと感じた。例年通り各分野からバランスよく出題された。大問1を除くと、「生物の生殖と遺伝」「植物のつくり」「動物の分類」「火成岩」「電流と発熱量」「エネルギー」が出題された。全体的に選択問題が多くなっているが、十分な知識がないと迷ってしまうような選択肢になっている。よって、教科書の隅々まで学習しておく必要がある。いろいろな観察、実験の結果から考える出題形式で基礎問題から応用問題まで幅広い内容になっている。また、表を読み取り答えを導き出す力が必要になっている。計算問題は2問と少なかったが、数学的な考えを利用して解く問題もあり、柔軟な思考力も必要になってくる。
【社会】
地理、歴史、公民の3分野から大問2題ずつの出題であった。設問数に大きな変化はない。論述式の問題は、比較的難易度が高い9問が出題された。
全体的に、基礎知識を問う問題、地図や資料を正確に読み取って判断する問題、与えられた語句を用いて知識を正確に表現する力を問う問題、解答に計算を伴う問題などがバランスよく出題された。地理では、国名を把握した上でその特徴を選んだり統計資料を読み取ったりする力や、北海道の特色についての知識が必要であった。歴史では、時代ごとの基礎知識を問う問題だけでなく、一歩踏み込んだ内容の理解度、定着度を問う問題も出題された。公民では、国際社会、政治、人権などについて、基本的な事項を正確に理解しているかが問われた。