平成31年福島県立高校入試問題の傾向
【国語】
例年通り大問6題構成。
大問1では四字熟語に関して出題されたが、普段からこういった語句の知識も身につけておきたい。
大問2の韻文では予想通り、俳句が出題された。難易度は決して高くなく、充分に対応できる問題であったと言える。
大問3の古文も比較的内容が理解しやすいものだったので、古文が苦手と感じている受験生にも対応できたと思われる。
大問4はセリフが中心の、かなり長めの小説から出題。心情把握の問題を中心に30字・60字の記述問題も出題されたが、丁寧に読み解けばこれも充分に得点に結びつけることができただろう。
難関の上位校を目指す受験生のポイントとなったのは、大問5の論説文。抽象的な語句が多く、語彙力がそのまま解答力に直結したのではないだろうか。25字・60字の記述問題が出題され、「速く正確な読解力」が試された。数多く出題される記述問題に対応するには、日頃から記述問題に触れておき「記述対応力」を磨く必要がある。
大問6の作文においては、推敲前と後の二つの案内文を比較し自分の考えを表現する力を見られた。小説が例年よりはるかに長めの文章であったにもかかわらず、作文も案内文2案を読み比べるという問題で、今年度の国語は速読力がものを言う形式の出題という印象。ちなみに当塾では『速読講座』も開講しており、解答に時間をかけるための読解スピードを鍛えることができる。来年度以降の入試を考えると、日頃から「語彙力」と「速読力」の向上に努めたい。
【数学】
大問構成、出題問題数は例年と大きな変化はなかった。
第1問の計算問題と関数の基礎問題、第2問の因数分解、数量の関係を表す式、図形の基礎問題、作図問題などは過去の問題を練習していた受験生には十分対応できる問題であった。
昨年の問題から出題されている第2問の数量の変化の問題も、昨年に比べると考えやすい問題となっていた。
第3問についても定番の問題と言えるので、ここまではミスを防いで確実に得点を重ねることが重要となった。
第4問方程式の文章問題、第5問図形の証明問題も難易度が高い問題ではなく、比較的解きやすいと感じた受験生もいたと思われる。
第5問⑵の角度の問題は、発展的な内容をしっかり学習していれば簡単な問題となるが、多くの受験生には解きにくい問題だったと思われる。
第6問、第7問も難易度は例年通りであった。第6問⑶は、グラフを利用した図形の面積の計量に十分慣れておく必要がある。第7問⑵、⑶は、平面内での直線の交点、空間内での平面と直線の交点の位置を定めるため、相似や三平方の定理の利用について難易度の高い問題の練習が必要となる。
【英語】
問題形式は例年通りで、特別講座や直前対策等で触れた多くの語句・文法、解法が出題された。「難しかった」という声の多かった去年の入試に比べ、やや難易度が調節されている。
[大問1]・・・放送問題
対話を完成させる放送問題3の問題は去年の形式と同じ。語句や文法の基礎知識がバランスよく問われた。
[大問2]・・・空欄補充(単語・文)問題、整序問題
[比較級 than any other 単数名詞]や分詞など、ここでも語句や文法に関する基本的な問題が並んだ。語句・文法の基本を応用し、対話の流れや論理的な選択肢の理解も求められた。
[大問3]・・・英作文
去年と同じく、小問2問で構成。⑴は分詞のexcitingとexcitedの区別を、⑵は[want 目的語 to do]や後置修飾を答えさせる問題で、どちらも基本ではあるが、苦手とする生徒が多い内容である。去年同様、どちらの文も現在形であった。また、放送問題2もそうであるが、discussやexcitingなどのような、スペルに注意すべき単語は意識して学習しておきたい。
[大問4・5]・・・長文読解問題
例年通り大問4は対話と資料(表)だったが、大問5は体験やその感想ではなく、コーヒーに関する説明的文章であった。
大問4にも説明文を理解して解く問題があったが易しく、また、need to doとit is necessary to doの書きかえは去年の問題にも含まれていた。
大問5では、本文内から答えの根拠を見つけ、論理的に解答するという手法はどの設問でも使え、難解な書きかえや英作文はなく、出来事を順に並べる問題や日本語で答える(和訳する)問題もなかった。
大問4・5ともに、本文そのものの難易度は抑えられており、設問を含めた語数も、近年増加傾向ではあるものの、通常授業や特別講座、直前対策での学習・演習で十分読解できる量である。
【理科】
例年通り物理、化学、生物、地学からそれぞれ2問ずつの出題。
昨年度と異なり計算問題はほとんどなく、全体的に簡単だったといえる。
高得点のポイントは「ひ孫の代の形質と個体数の比」と「半円形ガラスと反射角、屈折角の問題」で、同様の問題を解いた経験がなければ戸惑っただろう。
平均点が高いことが予想され、いかに失点しないかが勝負のカギといえる。
【社会】
地理、歴史、公民の3分野から大問2題ずつの出題であった。設問数に大きな変化はない。論述式の問題は、難易度の異なる5問が出題された。
全体的に、基礎知識を問う問題、地図や資料を正確に読み取って判断する問題、与えられた語句を用いて知識を正確に表現する力を問う問題、解答に計算を伴う問題などがバランスよく出題された。地理では、指定された国の特徴をもとにその国の資料を選択したり、地図上の道路の実際の長さを計算したりする力や、中国・四国地方の特色についての知識が必要であった。歴史では、時代ごとの基礎知識を問う問題だけでなく、一歩踏み込んだ内容の理解度、定着度を問う問題も出題された。公民では、政治、経済などについて、基本的な事項を正確に理解しているかが問われた。